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越谷 心療内科
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PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断書:取得から活用まで
2025.06.10
心療内科について
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、生命に関わるような外傷的な出来事を体験した後、その出来事に関連する苦痛な記憶がフラッシュバックしたり、強い不安感や恐怖感が持続したりすることで、日常生活に大きな支障をきたす精神疾患です。
このような症状に悩まされ、心療内科や精神科を受診した結果、PTSDと診断されることがあります。診断書は、PTSDの診断を受けたことを公的に証明する重要な書類であり、休職、治療費の助成、障害年金申請など、さまざまな場面で活用されます。本記事では、PTSDの診断書の取得方法、記載内容、費用、そしてその効力について詳しく解説します。
PTSD診断書の取得方法
PTSDの診断書は、精神科や心療内科で医師の診察を受けた上で発行されます。診断書をスムーズに取得するためには、以下の点に留意すると良いでしょう。
心療内科・精神科の受診:
PTSDの診断は専門的な知識と経験を要するため、精神科または心療内科を受診することが必須です。初めて受診する際は、事前にウェブサイトなどで診断書の発行に対応しているか、即日発行が可能かなどを確認しておくと良いでしょう。
受診時に診断書の目的を伝える:
診察時に、診断書が必要な理由(休職、傷病手当金、自立支援医療制度の申請、障害年金申請など)を明確に医師に伝えましょう。使用目的によって、診断書の記載内容や必要な項目が異なる場合があります。
症状や経緯を具体的に伝える:
診断の正確性や診断書の内容に影響するため、自身の症状がいつから、どのような出来事をきっかけに始まったのか、そしてその症状が日常生活にどのような影響を与えているのかを具体的に医師に伝えます。過去の病歴や治療歴も詳しく伝えるようにしましょう。
診断書発行にかかる時間:
クリニックによっては「最短即日発行」を謳っている場合もありますが、診断書の作成には通常、数日から1週間程度かかることが多いです。特に複雑な内容の診断書や、医師が慎重に判断する必要がある場合は、より時間を要することもあります。急ぎで必要な場合は、その旨を事前に伝え、発行にかかる期間を確認しておくことが重要です。
PTSD診断書の記載内容
PTSDの診断書には、一般的に以下の内容が記載されます。
- 診断名: 「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と明記されます。
- 初診日: 医療機関に初めてかかった日付。
- 発病からの病歴および治療の経過:
推定される発病時期や、発病時・初診時の具体的な状態
これまでの受診歴や入院歴
どのような治療(薬物療法、精神療法など)が行われてきたか、その経過
特にPTSDの場合、発症の原因となった外傷的な出来事についても記載されます。 - 現在の病状、状態像:
現在の精神症状(例:フラッシュバック、悪夢、回避行動、過覚醒、情緒不安定、いらだち、集中力低下など)
症状の重症度
日常生活や社会生活への影響(例:仕事に就くことができない、外出が困難、対人関係の維持が難しいなど)
構造化面接(CAPSやSCIDなど)や心理検査(IES-Rなど)の結果が客観的な指標として用いられることもあります。 - 治療期間の見込み: 今後の治療の見通しや、回復までの期間が記載されます。
- 今後の治療方針: 薬物療法の内容、精神療法(認知行動療法、EMDRなど)の予定などが示されます。
- その他特記事項: 必要に応じて、医師からの指示や配慮すべき点などが追記されます。
特に、休職や傷病手当金、障害年金などの申請目的の場合、現在の労務能力や日常生活能力について具体的な記述が求められます。
PTSD診断書の発行にかかる費用
診断書の発行費用は、医療機関や診断書の種類によって異なります。一般的には、健康保険が適用されない自費診療となります。
- 定型診断書(休職・通院証明など): 4,000円〜7,000円程度が多いです。
- 自立支援医療制度や精神障害者保健福祉手帳申請用の診断書: 5,000円〜8,000円程度が多いです。
- 障害年金申請用の診断書: 8,000円〜17,000円程度と、他の診断書に比べて高額になる傾向があります。これは障害年金申請用の診断書が、より詳細な情報と医師の専門的な判断を要するためです。
料金はクリニックによって異なるため、事前に確認することをおすすめします。
PTSD診断書の効力と活用場面
PTSDの診断書は、公的な手続きにおいて、その病状や必要性を証明する重要な役割を担います。
休職・職場復帰:
PTSDの症状が重く、仕事への影響が大きい場合、診断書を会社に提出することで休職が認められやすくなります。休職期間や職場復帰の条件についても、医師の意見が反映されます。
傷病手当金申請:
業務外の病気やケガで仕事を休む場合に支給される傷病手当金の申請には、医師による労務不能であることの証明が必要です。PTSDによる休職も対象となるため、診断書は不可欠です。
自立支援医療制度の利用:
精神疾患の治療を継続的に受ける際、医療費の自己負担を軽減する制度です。PTSDの診断があれば、この制度を利用するための申請に診断書が必要となります。
精神障害者保健福祉手帳の申請:
精神疾患による障害の程度に応じて交付される手帳で、様々な福祉サービスや割引制度を利用できます。手帳の申請には、医師の診断書が必須です。
障害年金申請:
病気やケガによって生活や仕事に支障が出た場合に受け取れる年金です。PTSDも支給対象となり得ますが、障害年金は認定基準が厳しく、特にPTSDの場合、治療期間が1年以上であることや、精神科・心療内科の専門医による診断が重要視されます。診断書には、日常生活や労働能力の具体的な状況を詳細に記載してもらう必要があります。
その他:
保険金の請求、学校への配慮依頼、公的な相談窓口の利用など、様々な場面で診断書が求められることがあります。
診断書活用のためのポイント
- 早めの受診と診断: 症状に気づいたら早めに専門医を受診し、適切な診断を受けることが、その後の制度利用や治療をスムーズに進める上で非常に重要です。
- 医師との連携: 診断書の目的や用途を明確に伝え、医師と十分にコミュニケーションを取りましょう。医師は、患者の状況を把握した上で、適切な内容の診断書を作成してくれます。
- 定期的な通院: 診断書の内容は、その時点の症状に基づいて作成されます。治療の経過や病状の変化に応じて、必要であれば診断書を更新してもらう必要があります。特に傷病手当金や障害年金など、継続的な支給や支援を受けるためには、定期的な通院と診断書の更新が求められます。
PTSDの診断書は、つらい症状と向き合いながら社会生活を送る上で、さまざまなサポートを受けるための第一歩となります。ご自身の状況に応じて、必要な診断書を適切に取得し、活用することで、安心して治療に専念し、回復への道を歩むことができるでしょう。
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