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越谷 心療内科
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抜毛症とは?

抜毛症は、自分で自分の髪の毛や体毛などを引き抜いてしまう行動を繰り返す精神疾患の一つです。ストレスや不安、退屈などが原因で起こることが多く、抜毛行為を止めようと思ってもなかなか止められないのが特徴です。

抜毛症とは?その症状と特徴

抜毛症は、正式には「精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)」において「抜毛症(Trichotillomania)」と診断されます。髪の毛だけでなく、眉毛、まつげ、腕の毛、陰毛など、体毛のどこでも抜毛の対象となることがあります。

主な症状

  • 抜毛行為の反復: 自分で自分の毛を繰り返し引き抜いてしまう。
  • 抜毛衝動の抑制困難: 抜毛したいという衝動を抑えようとしても、なかなか止められない。
  • 抜毛による脱毛: 抜毛を繰り返すことで、その部分の毛が薄くなったり、脱毛したりする。
  • 苦痛や機能的障害: 抜毛行為や脱毛によって、精神的な苦痛を感じたり、社会生活や職業生活に支障が出たりする。

抜毛行為の前に緊張感が高まり、抜毛後に解放感や満足感を感じることがあります。しかし、その後、罪悪感や恥ずかしさを感じることも少なくありません。

抜毛対象となる部位

最も多いのは頭髪ですが、以下のような部位も抜毛の対象になります。

  • 眉毛
  • まつげ
  • 腕や足の毛
  • 陰毛
  • 脇毛
  • ひげ(男性の場合)

抜毛方法の多様性

抜毛の仕方は人によって様々です。一本一本丁寧に抜く人もいれば、一束まとめて抜く人もいます。毛を抜いた後に、その毛を噛んだり、食べたり、いじったりする行為(食毛症、毛食症)を伴うこともあります。

抜毛症の原因と発症のメカニズム

抜毛症の原因は、特定の一つの要因でなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

生物学的要因

  • 遺伝的要因: 家族に抜毛症の人がいる場合、発症リスクが高まると言われています。
  • 脳の機能異常: 脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)のバランスの乱れが関与している可能性が指摘されています。

心理的要因

  • ストレス: 学校や職場での人間関係、受験、引越しなど、様々なストレスが引き金となることがあります。
  • 不安や緊張: 不安や緊張を感じやすい人が、その感情を和らげるために抜毛行為に走ることがあります。
  • 退屈: 何もすることがなく、手持ち無沙汰な時に抜毛行為が始まることもあります。
  • 完璧主義: 完璧主義の傾向がある人が、少しでも気になる毛があると抜いてしまうことがあります。
  • 自尊心の低さ: 自分に自信が持てず、その捌け口として抜毛行為を行ってしまうケースも見られます。

環境的要因

  • 家庭環境: 家庭内の不和や過干渉、放置なども影響を与えることがあります。
  • トラウマ体験: 過去の辛い経験やトラウマが、抜毛症の発症に関わることもあります。

抜毛行為は、ストレスや不安な気持ちを一時的に和らげるための「自己刺激行動」として機能することがあります。しかし、その行為が習慣化し、エスカレートすることで、自己コントロールが難しくなってしまいます。

抜毛症の診断と治療方法

抜毛症は、自分で気づきにくい病気であり、また周りも気づきにくいことがあります。しかし、早期に適切な診断と治療を受けることが、症状の改善につながります。

診断

抜毛症の診断は、精神科や心療内科の医師が行います。問診を通して、抜毛行為の頻度、期間、抜毛部位、抜毛衝動の有無、抜毛による苦痛や機能的障害などを詳しく確認します。また、類似の症状を示す他の精神疾患(例:強迫性障害、身体醜形障害)との鑑別も重要です。

治療

抜毛症の治療は、主に「認知行動療法」と「薬物療法」を組み合わせて行われます。

  • 認知行動療法(CBT)
    認知行動療法は、抜毛症の治療において最も効果的とされている心理療法です。特に「習慣逆転法(Habit Reversal Training: HRT)」という技法が用いられます。

    抜毛行為の特定:

    どのような状況で抜毛行為が起こるのか、誘因となる感情や思考を特定します。

    抜毛行為の置き換え:

    抜毛衝動が起きた時に、抜毛行為とは異なる、害のない別の行動に置き換える練習をします(例:手を握りしめる、ストレスボールを握る、編み物をするなど)。

    刺激制御:

    抜毛行為が起こりやすい環境を特定し、その環境を改善する対策を立てます(例:鏡を隠す、手袋をする、テレビを見ながら抜毛しないなど)。

    リラックス法:

    ストレスや不安を軽減するためのリラックス法(例:深呼吸、瞑想、ヨガなど)を習得します。
  • 薬物療法
    認知行動療法と併用して、必要に応じて薬物療法が行われます。

    選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI):

    うつ病や不安障害の治療にも用いられる薬で、脳内のセロトニンのバランスを整えることで、抜毛衝動を軽減する効果が期待されます。

    その他:

    症状によっては、抗精神病薬や気分安定薬などが検討されることもあります。
  • サポートグループと家族の理解
    抜毛症は、孤独感を感じやすい病気でもあります。サポートグループに参加したり、家族や友人に病気を理解してもらい、サポートを受けることも治療において重要です。

抜毛症と向き合うためのセルフケアと周囲のサポート

抜毛症は、なかなか治りにくい病気ですが、適切な治療とセルフケア、そして周囲の理解があれば、症状の改善は可能です。

セルフケアのヒント

  • 抜毛日誌をつける: どんな時に、どんな気持ちで抜毛行為をするのかを記録することで、抜毛のパターンを把握しやすくなります。
  • ストレス管理: ストレスを溜め込まないように、趣味や運動など、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
  • リラックス法の実践: 瞑想や深呼吸、ヨガなど、心身をリラックスさせる習慣を取り入れましょう。
  • 代替行動を見つける: 抜毛衝動が起きた時に、髪の毛を触る代わりにできる行動(例:手を握る、編み物をする、絵を描くなど)を見つけて実践しましょう。
  • 環境の調整: 抜毛行為が起こりやすい場所や状況を避けたり、改善したりする工夫をしましょう(例:手袋を着用する、帽子をかぶる、照明を暗くするなど)。
  • 自己肯定感を高める: 自分を責めずに、小さな成功体験を積み重ねることで、自信を取り戻すことが重要です。

周囲のサポート

抜毛症は、本人が一人で抱え込みやすい病気です。周囲の理解とサポートが、回復への大きな力となります。

  • 非難しない: 抜毛行為を責めたり、叱ったりすることは逆効果です。本人は止めたいと思っても止められない苦しみを抱えています。
  • 理解を示す: 抜毛症が精神疾患であることを理解し、寄り添う姿勢が大切です。
  • 専門家への受診を勧める: 必要であれば、精神科や心療内科の受診を優しく促しましょう。
  • 具体的なサポート: 本人が抜毛行為を避けられるような環境づくりに協力したり、ストレス解消のための活動を一緒にしたりするのも良いでしょう。
  • 焦らない: 抜毛症の改善には時間がかかることがあります。焦らず、根気強くサポートを続けましょう。

抜毛症は、決して珍しい病気ではありません。一人で悩まず、医療機関や専門家を頼ることで、より良い方向へ向かうことができます。自分自身を労り、焦らず治療に取り組むことが、抜毛症と向き合うための第一歩となるでしょう。

 

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