うつ病とは
うつ病は、気持ちが沈んだまま晴れず、物事に興味が持てなくなるこころの病です。誰にでも起こりうるもので、特別な弱さによるものではありません。脳の働きや神経伝達物質の乱れ、心身の疲れ、環境からの強い負荷など、さまざまな要因が重なって起こるとされています。眠れない、食欲がない、考えがまとまらないといった体や頭の不調も見られ、日々の暮らしや仕事に大きく影響します。うつ病は、きちんとした治療を行えば回復が望める病気です。早めに気づき、心をゆるして話せる医師に相談することが大切です。
以下のような状態が、ほぼ毎日・2週間以上続くようであれば、うつ病の可能性があります。ためらわず、まずはご相談ください。
このような場合はご相談ください
- 気持ちが沈んで晴れない
- これまで楽しかったことが楽しめない
- 朝、起きるのがつらく、体が重い
- 集中力や考える力が落ちてきた
- 食欲がなくなった、あるいは食べすぎる
- 夜に眠れない、または寝すぎてしまう
- 「自分には価値がない」と思う
- 死について考えてしまう
仕事や家事、学業に手がつかなくなっていたり、人との関わりが億劫になったりしている場合も、こころの不調のサインかもしれません。
うつ病の症状
うつ病には、気分・思考・身体の3つの面で症状が現れます。
1.気分の症状
- 憂うつでつらい気持ちが続く
- 楽しいことが楽しめない
- 不安や焦りが強くなる
2.思考の症状
- 自分を責めがちになる
- 物事を悪い方向にばかり考えてしまう
- 集中できない、記憶があいまいになる
3.身体の症状
- 食欲が落ちる、または増す
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める、過眠
- 疲れやすい、だるい、頭や胃の痛み
うつ病では、脳の神経伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリンなど)の働きが偏ることがあり、これは海外の脳画像研究(e.g., Mayberg et al., Neuron, 2005)でも裏づけられています。
うつ病の原因
うつ病の原因は一つではなく、いくつかの要因が重なりあって起こります。
1.こころの要因
- 人間関係の悩み
- 仕事・学業のストレス
- 大切な人との別れなどの喪失体験
2.からだの要因
- 脳内の神経伝達物質の働きの乱れ
- 睡眠リズムの崩れ
- ホルモンバランスの変化(例:産後)
3.生まれ持った体質
- 気分の浮き沈みが出やすい性質
- 家族にうつ病の方がいる場合
こうした要因が重なって、脳の働き方に変化が起こり、感情や考え方、体調に影響が出てくると考えられています(参照:日本うつ病学会「うつ病治療ガイドライン」、APA DSM-5-TR、WHO ICD-11)。
うつ病の治療方法
うつ病は、治療により回復が望める病です。治療法は主に以下の三つに分かれます。
1.休養
まずは心と体を休めることが基本です。症状が強いときには、学校や仕事を休むことが必要な場合もあります。
2.薬による治療(薬物療法)
抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSAなど)により、脳の伝達物質のバランスを整えることが目的です。近年のメタ解析(e.g., Cipriani et al., The Lancet, 2018)では、現代の抗うつ薬の有効性と安全性が再確認されています。
3.こころの支えとなる治療(精神療法)
- 認知行動療法(CBT):ものごとの受け取り方や行動を見直す手法
- 対人関係療法(IPT):人間関係の改善を通して症状の軽減をはかる
これらは多くの国際ガイドラインでも第一選択として推奨されています(NICE, APA, 厚労省「こころの健康づくり」など)。
【参考文献】
・日本うつ病学会「うつ病治療ガイドライン2022」
・American Psychiatric Association: Practice Guideline for the Treatment of Patients with Major Depressive Disorder (3rd ed.)
・NICE Guideline (UK): Depression in adults: treatment and management
・Cipriani A et al., Comparative efficacy and acceptability of 21 antidepressant drugs…, The Lancet (2018)
・Mayberg HS et al., Reciprocal limbic-cortical function and negative mood, Neuron (2005)
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