適応障害とは
適応障害とは、強いストレスにさらされたあと、気分の落ち込みや不安、行動の変化などが現れるこころの病です。たとえば、職場の異動や人間関係のもつれ、受験の失敗、大切な人との別れなどがきっかけになることがあります。原因となる出来事がはっきりしており、その出来事に対して過剰な心身の反応が続くのが特徴です。ふつうの「落ち込み」や「疲れ」とは異なり、生活に支障をきたすことがありますが、原因から距離をとったり、支援を得たりすることで、比較的早く回復することも多い病です。
以下のような状態が、明らかな出来事をきっかけに現れ、2週間以上続いている場合は、適応障害の可能性があります。
このような場合はご相談ください
- 仕事や学校に行くのがつらくなった
- 人と会うのが苦しい、気力がわかない
- 不安や焦りが強く、夜も眠れない
- 涙が止まらない、ちょっとしたことで腹が立つ
- 体がだるく、朝起きるのがしんどい
- 無気力や過食・飲酒に走るなど、行動に変化がある
特定のストレスから始まり、時間が経つほどに心や体の調子が崩れていくようであれば、早めのご相談をおすすめします。
適応障害の症状
適応障害の症状は、主に「気分の乱れ」と「行動の変化」の二つに分かれます。
1.気分の乱れ
- 憂うつな気持ち、不安や焦り
- 怒りっぽくなる
- 自信の喪失、気力の低下
- 集中力や判断力の低下
- 眠れない、または寝すぎる
2.行動の変化
- 遅刻・欠勤・引きこもり
- 飲酒や過食など、感情の調整行動
- 衝動的な行動、場合によっては自傷的な行為
症状はその人の性格や環境、ストレスの種類によって多様です。「ストレスによって壊れた心のバランス」ととらえると理解しやすいかもしれません。
適応障害の原因
適応障害は、ストレスとなる出来事に対し、心と体がうまく慣れることができなかったときに生じます。
1.明確なストレス要因
- 職場の異動、退職、人間関係のもつれ
- 学業の不調、試験や就職活動
- 離婚、死別、事故などの喪失体験
2.本人の感受性や背景
- まじめで責任感の強い性格
- ストレスをひとりで抱え込みやすい傾向
- 社会的な支えが少ない状況
DSM-5やICD-11においても、「特定のストレス因子への過剰反応であり、時間的な関係性が明確である」ことが診断の鍵とされています(APA, WHO, 2019)。
適応障害の治療方法
適応障害は、原因が明確であることから、適切な支援と環境調整により、比較的短期間で改善することも多い病です。
1.環境への働きかけ
- ストレスの原因から距離をとる(休職・部署異動など)
- 家族や職場との調整・支援体制の整備
- 本人の負担を軽くする工夫
2.心理的支援(精神療法)
- ストレスとの向き合い方や考え方のバランスを整える「認知行動療法」
- 自分の思いを整理し、対処力を育てる「支持的精神療法」
- 必要に応じて家族への説明や支援も行います
3.薬による補助的な治療
- 強い不安や不眠がある場合、一時的に抗不安薬や睡眠薬を用いることがあります
- 抗うつ薬が使われることもありますが、中心的な治療ではなく、補助的な役割です
【参考文献】
・日本うつ病学会「適応障害ガイドライン(2022年版)」
・DSM-5-TR(American Psychiatric Association, 2022)
・WHO ICD-11(World Health Organization, 2019)
・Casey P & Bailey S, Adjustment disorders: The state of the art, World Psychiatry, 2011
・First MB et al., Clinical Utility of DSM-5 Criteria for Adjustment Disorders, Am J Psychiatry, 2018
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