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越谷心療内科
さくらメンタルクリニックの
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適応障害の背景にADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)が疑われる例
2025.12.06
症例
INDEX
ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)について解説
ADHDは注意欠陥多動性障害と呼ばれていましたが、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では注意欠如多動症となっています。
DSM-4(精神疾患の診断・統計マニュアル第4版)の頃に、自閉症、アスペルガー症候群、広範性発達障害と呼ばれていたものが、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では、まとめて自閉スペクトラム症とされました。
適応障害の背景にADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)が疑われるお子さんによく見られる相談・症状の例
中学1年の女の子。急に学校に行きたくなくなり、遅刻や欠席が増えました。「死にたい」と言って、薬を大量に飲んだり、リストカットしたりするようになりました。
小さい頃から、お母様は経済的な心配もあり、ずっとフルタイムで働いてきました。保育園のころ、お母様が仕事から帰るのが遅かった日に「遊んで」と言ったら「今は無理」と言われ、自分は嫌われていると感じて、その場面を今もはっきり覚えています。他にも、小さい頃にお父様に叱られたことなど、嫌なことほどよく覚えています。
弟さんが学校でいじめられていて、お母様は弟さんにかかりきりなので、「死にたい」と言えばお母様の気を引けると思いました。最初は軽い気持ちだったのに、だんだんと、薬をたくさん飲んだり、車にひかれるなど、自分が死ぬ場面の想像が頭の中でぐるぐる繰り返されるようになりました。
もともと、嫌なことに限らず、楽しいことも考えていて、いつも頭の中はぐるぐる忙しいです。
学習面では、文章を自分で読んでも、読み上げてもらっても、わかりません。授業中、他のことを考えているから、先生の指示がわかりません。窓の外に雲が見えたり、他の子が動いたりすると集中が切れて、勉強できなくなります。暗記ものは、覚える気になれば覚えられますが、覚えようと思えなければ、全くと言っていいほどできません。問題と答えが事前にわかっていたテストは高得点を取れますが、応用問題はできません。
試験中、わからない問題は飛ばして次の問題に進むようにといつも言われるのですが、わからない問題ひとつを考え続けて時間がなくなってしまいます。
お風呂がつらくて、数日入らないこともあります。片付けも苦手で普段散らかっていますが、急に片づけたくなる時はとてもきれいにします。
就学前の健診では、何も指摘されませんでした。保育園の頃、友だちの家に泊まりに行くと言い出して、夜行ってしまったことがあります。小学校は問題なく通っていましたが、気の合う友達は1人しかいませんでした。
(※複数の症例から個人を特定できないように加工しています)
支援・関わり方のポイント
想像力が豊かなこと、ひとつの考えにとらわれやすいことも、発達障害の特徴と言えるでしょう。
お母様の注意をひきたくて、不適応と思われるような行動をとるお子さんがたくさんいらっしゃいます。「仕事と家庭の両立」という言葉が、まるで当然のように言われてきましたが、お母様にとってもお子さんにとっても簡単なことではありません。一昔前のように、専業主婦を選択できるくらいの豊かさが今この国にあったなら、こんなにつらい状況にはなっていないだろうと思わずにいられません。
監修者
院長 村重直子
当院は埼玉県越谷市の南越谷駅から徒歩1分、新越谷駅から徒歩2分という立地で、うつ病、不安障害、パニック障害、不眠症、適応障害、児童・思春期のメンタルケアまで幅広く対応し、一人ひとりを大切に診療に当たっております。
私はこれまで、ニューヨークのベス・イスラエル・メディカルセンター、国立がんセンター中央病院、および複数のクリニック・訪問診療に携わり、国内外で多様なライフステージに応じた医療に従事してまいりました。
一人ひとりに寄り添い、その方の人生に伴走する医師でありたいと願って診療しています。
特に児童精神科・思春期のメンタルケアでは、一人の母親としても共感を持ちながら、お子さんの「過去・現在・未来」を一緒に考えてまいりましょう。思春期ではご本人の意思を尊重し、必要に応じて親御さんと別々の時間を設けることもございます。すべては、将来、お子さんの持つ可能性が花開く時のために。
心の不調でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。越谷市を中心に、地域の皆様の頼れる診療所として、スタッフ一同、誠意をもって診療にあたります。