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越谷心療内科
さくらメンタルクリニックの
クリニックブログ
DCD(発達性協調運動症)についての総説を紹介
2026.01.15
院長のつぶやき
発達障害の中でも、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性障害) は比較的よく知られるようになりましたが、DCD(発達性協調運動症)はまだあまり知られていないようです。
今回は、システマティックレビューの結果およびEuropean Academy of Childhood Disability (EACD)によるエビデンスに基づく推奨によって裏付けられている、カナダのグループが発表した総説※1からご紹介します。
DCDは、よくある神経・運動の状態であり、学齢期の児童の約5~6%に見られます。このように有病率が高いにもかかわらず、医療専門家による認識が不十分である可能性が英語圏でも指摘されています。1297名の保護者、教師、医師を対象としたオンライン調査では、DCDに関する知識を持っていたのは小児科医の41%、GP(総合診療医)の23%に過ぎませんでした。回答した医師はカナダ、アメリカ合衆国、イギリスの医師でした。
DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に記載されているように、DCDのある子どもは、実年齢で期待される運動の協調性を下回っており、「不器用」と思われることもありますし、歩行やハイハイといった初期の運動発達段階に遅れが見られることがあります。粗大運動または微細運動、あるいはその両方の協調運動に難しさがあり、学業成績や日常生活の動作に支障をきたします。DCDにおける協調運動の難しさは、他の病気(例:脳性麻痺、筋ジストロフィー、視覚障害、知的障害)に関連したものではありません。
DCDのある子どもは、他の症状を併発することが多いことが知られています。例えば、ADHD (注意欠如多動症)50%、ASD(自閉スペクトラム症)4.1%–8.2%、LD(学習障害)17.8%–27.5%などが挙げられています。
治療としては、作業療法士(OT)または理学療法士(PT)、あるいはその両方に紹介し、日常的な動作ができるよう支援することが推奨されると、この総説では書かれています。医療という枠組みの中ではその通りですが、他にもできることはたくさんあります。日々の生活の中で、お箸を使う、水を注ぐ、こぼれないようにお盆を運ぶ、着替えてボタンの止め外しをする、外で体を動かして遊ぶ、体操や水泳など、体を動かす動作を少しずつ繰り返すことが、苦手な動作の改善につながります。
ここで注意していただきたいのは、できなくても決して本人を責めないこと、つらい動作に取り組んだ頑張りを褒めてあげることです。できないのは本人の努力が足りないからではなく、神経の違いや多様性※2があるからです。人一倍つらい動作に取り組み、人一倍努力していることを認め、褒めてあげましょう。
そして、過剰な努力を要求しないこと、むしろハードルを下げてあげることです。例えば、逆上がりや縄跳びのように、大人になってもずっと必要な動作でないならば、できるようになる必要はない、といった、一人ひとりに合った目標設定が重要です。
厚生労働省からも「DCD支援マニュアル」※3が発表されていますので、ご参照ください。
参考:
※1 Susan R Harris et al. Diagnosis and management of developmental coordination disorder. CMAJ. 2015. Jun 16;187(9):659–665.
※2 発達障害からニューロダイバーシティ(神経多様性)へ
※3 厚生労働省「DCD支援マニュアル」
監修者
院長 村重直子
当院は埼玉県越谷市の南越谷駅から徒歩1分、新越谷駅から徒歩2分という立地で、うつ病、不安障害、パニック障害、不眠症、適応障害、児童・思春期のメンタルケアまで幅広く対応し、一人ひとりを大切に診療に当たっております。
私はこれまで、ニューヨークのベス・イスラエル・メディカルセンター、国立がんセンター中央病院、および複数のクリニック・訪問診療に携わり、国内外で多様なライフステージに応じた医療に従事してまいりました。
一人ひとりに寄り添い、その方の人生に伴走する医師でありたいと願って診療しています。
特に児童精神科・思春期のメンタルケアでは、一人の母親としても共感を持ちながら、お子さんの「過去・現在・未来」を一緒に考えてまいりましょう。思春期ではご本人の意思を尊重し、必要に応じて親御さんと別々の時間を設けることもございます。すべては、将来、お子さんの持つ可能性が花開く時のために。
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