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越谷心療内科
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LD(学習障害)が疑われる例③
2025.10.26 2025.10.31
症例
LD(学習障害)について解説
LD(学習障害)は、英語圏では一般的にディスレクシアと呼ばれますが、DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)ではSLD(限局性学習症)となっています。
LD(学習障害)のお子さんによく見られる相談・症状の例
小学6年生の女の子。小学1年生の時から、ランドセルを叩かれたり、水筒で頭を殴られたり、ノートに落書きされたり、2〜3人の子からいじめられていました。小学2年生から別々のクラスにしてもらえたものの、近くに住んでいるので、あちこちで嫌がらせは続いていました。最近、爪噛みが激しくなり、頭をかきむしって髪を引き抜くようになり、お母さまは友達関係のストレスだと思っておられます。
一旦、お母さまに退室していただくと、ご本人はようやく話し始めます。自分の存在価値がわからなくて消えたいと思い、自分の手や足を切っています。お母さまに叱られたから、最近は隠れて切っています。
学校の先生も信頼していない、親が学校に行かないことを許してくれないけれど、行かなくていいなら行かない、生きることがつらい、学校も家も居場所がない、と言います。
学習面では、音読は読み間違えたりつかえたりするので、国語の授業中みんなの前で音読させられると喉が詰まってしゃべれないほど苦しい、漢字のテストは普通にできるけれど、文章を読むのも板書も他の子より遅い、文字を読むより耳から聞くほうが理解できる、理科・社会のような単純暗記は苦手、といった特徴があります。塾にも行っているけれど同様にわからない、私には勉強することに意味がない、と言います。
(※複数の症例から個人を特定できないように加工しています)
LD(学習障害)のお子さんへの支援・関わり方のポイント
ベースに学習障害(LD、ディスレクシア)があるため、二次的に自己肯定感の低下や希死念慮につながっている可能性があります。学習障害があるために、いじめの標的になりやすいとも言えます。
一刻も早く、周囲の大人が、学習障害に気づいてあげる必要がありますが、日本における学習障害に関する認知度は極めて低く、学校の先生も親御さんも気づいてあげられないケースが多いと言わざるを得ません。
聡明なこのお子さんは「私には勉強することに意味がない」と言っていますが、今までの方法以外の、ご本人に合う方法で勉強するならば、十分意味はありますし、学ぶことの面白さを見出すことができるでしょう。周囲の大人が一緒に、ご本人に合う学習方法を探す旅に出てくだされば、希死念慮や自傷行為は消えるでしょう。ご本人の特徴を理解し、受け入れ、新たな旅へ一歩踏み出すことができれば、生きることの意味や、天に与えられた才能を活かして社会貢献する道を、前向きに考えられるようになるでしょう。
参照:
発達障害からニューロダイバーシティ(神経多様性)へ
学習障害(LD、ディスレクシア)は天に与えられた才能
「教育虐待」にならないよう、学習障害(LD、ディスレクシア)に気づいてあげましょう
教育を諦めないで:学習障害(LD、ディスレクシア)
監修者
院長 村重直子