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越谷心療内科
さくらメンタルクリニックの
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教育を諦めないで:学習障害(LD、ディスレクシア)
2025.10.29
院長のつぶやき
どんなに素晴らしい才能を天から与えられていたとしても、その才能によってひらめいたことを、定型発達の脳の持ち主にもわかるように、整理し言語化して伝える力を身に着ける必要があります。
その、言語化して伝える力には、ディスレクシアが苦手とする文字の読み書きや算数が必須であることが多いのです。そうした最低限の(もちろん、可能ならばできる限りたくさんの)読み書き算数を、学童期のうちに習得することが、将来、職業の選択肢を広げることにつながるでしょう。
「学習障害(LD、ディスレクシア)は天に与えられた才能」で書いたような、NASA(アメリカ航空宇宙局)がディスレクシアの人材を重宝しているというのも、ディスレクシアであることに加えて、定型発達の脳の持ち主にもわかるように伝える力があることを前提としているでしょう。なぜなら、現代の社会は、良し悪しは別として、定型発達の脳の持ち主にとってわかりやすい社会システムを採用しているからです。
ですから、ディスレクシアのお子さんは、つらいから勉強しなくてよいのではなく、そのお子さんにちょうど良い目標設定をしてあげて、そのお子さんにできるだけ無理のない学習方法で、勉強を続けなければなりません。
不登校となったケースでは、学校に行っていた時期に繰り返された失敗体験から、勉強はつらく不毛なものと刷り込まれてしまっていて、全く勉強しなくなってしまったり、勉強の話をするだけで不安の症状が出たり反抗的な態度になってしまったりすることも多く、心を痛めています。
せっかく天から授かった才能を活かし、将来やりたい仕事に就くために、少しずつでも勉強を続けていただきたいと思います。
一方で、朗報もあります。昨今の目覚ましいIT技術の進歩により、ディスレクアの方が習得しなければならない文字の読み書きや言語化能力は、格段にハードルが下がってきています。
レポート提出等、書かなければならないものは、苦手な手書きではなく、タイピングや音声入力によって、さらにはAIを使って作成可能でしょう。文章を読むという苦手なことも、デジタル化して音声読み上げ機能を使えばよいのです。
ディスレクシアの方の中には、2倍速で聞く、あるいは2~3台のデバイスを同時に見聞き出来る方も多いですから、その場合は、定型発達の脳の持ち主よりも速くたくさんの情報をインプットできると言えるかもしれません。
監修者
院長 村重直子